個人事業で複数の事業を展開していたり、法人で部門やプロジェクトごとに収支を管理したい場合、会計ソフトの「部門管理」機能が役立ちます。
たとえば、「Web制作とコンサルティングの2事業を運営しているけど、どっちが儲かっているのかわからない」「店舗ごとの売上を比較したい」といったケースです。
この記事では、freee・マネーフォワード・弥生の部門管理機能の違いと、実務での活用方法を解説します。

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部門管理とは?なぜ必要なのか
部門管理とは、事業全体の収支を「部門」や「プロジェクト」などの単位に分割して管理する手法です。会計ソフトでは、仕訳を入力する際に「どの部門に属する取引か」を指定することで、部門別の損益計算書(PL)を自動で作成できます。
部門管理が有効なケース
- 複数の事業を運営している個人事業主(Web制作+コンサル、飲食+物販など)
- 複数店舗を展開している事業者
- プロジェクト単位で収支を管理したい法人
- 本店と支店で別々に収支を把握したい場合
- 新規事業の採算性を検証したい場合
部門管理を行うことで、事業ごと・店舗ごとの利益率を比較でき、経営判断のスピードと精度が向上します。
会計ソフト別の部門管理機能を比較
freee会計の部門機能
freee会計では「部門」と「タグ」の2つの仕組みで取引を分類できます。
- 部門:組織構造に基づく分類(営業部、開発部、管理部など)
- タグ:自由に設定できる分類(プロジェクト名、案件名、取引先名など)
- 部門は階層構造(親部門→子部門)を設定可能
- 部門別の試算表や推移表をリアルタイムで確認できる
freeeの強みは、部門とタグを組み合わせることで多角的な分析ができる点です。たとえば「営業部(部門)×案件A(タグ)」のように掛け合わせて集計できるため、柔軟な管理が可能です。
ただし、部門機能はスタンダードプラン以上で利用可能です。スタータープランではタグのみ利用できます。
マネーフォワード クラウド会計の部門機能
マネーフォワード クラウド会計は、部門管理と分析機能の充実度が3社の中でも高いのが特徴です。
- 部門別の損益計算書・貸借対照表を自動作成
- 部門の階層構造(本部→事業部→チーム)を柔軟に設定可能
- 部門別の予算管理機能あり(予算vs実績の比較ができる)
- 仕訳の自動学習がAIで高精度なため、部門の自動振り分けにも活用できる
特に、部門別の予算管理機能は法人に重宝されます。年間予算を部門ごとに設定し、月次で実績との差異を確認できるため、経営会議の資料作成にも直接活用できます。
マネーフォワードの部門機能はスモールビジネスプラン以上で利用可能です。
弥生会計の部門機能
弥生会計 Nextでも部門管理は可能ですが、freeeやマネーフォワードと比べるとシンプルな構成です。
- 基本的な部門別の集計が可能
- 操作がシンプルで設定の手間が少ない
- 小規模事業者の簡易的な部門管理に適している
複雑な部門構造や高度な分析が必要な場合は、freeeやマネーフォワードのほうが向いていますが、「2〜3部門の収支をざっくり把握したい」程度であれば弥生で十分です。

部門管理を始めるときの設定手順
会計ソフトで部門管理を始めるための基本的な手順を紹介します。
ステップ1:部門の設計
まず、どのような単位で収支を管理したいかを決めます。よくある分け方は以下のとおりです。
- 事業別:Web制作事業、コンサル事業、物販事業
- 店舗別:本店、○○支店、△△支店
- プロジェクト別:案件A、案件B、案件C
- 組織別:営業部、開発部、管理部
部門を細かく設定しすぎると、日々の仕訳入力の手間が増えてしまいます。最初は3〜5部門程度から始めて、必要に応じて追加するのがおすすめです。
ステップ2:会計ソフトに部門を登録
会計ソフトの設定画面で部門を登録します。各ソフトとも管理画面から簡単に追加・編集・削除ができます。階層構造を持たせる場合は、親部門を先に作成してから子部門を追加します。
ステップ3:仕訳に部門を紐づける
日々の仕訳入力時に、該当する部門を選択します。銀行連携で自動取り込みされた取引も、確認・承認する際に部門を指定できます。
ステップ4:部門別レポートを確認
月次で部門別の損益計算書を確認し、各部門の売上・経費・利益を比較します。赤字部門があれば原因を分析し、改善策を検討します。
部門管理の実践的な活用法
複数事業の個人事業主の場合
たとえば、Webライターとしての収入と、物販事業の収入がある個人事業主の場合、「ライター事業」「物販事業」の2部門を設定します。これにより、どちらの事業が利益を生んでいるかが明確になり、時間配分の意思決定に役立ちます。
飲食店の複数店舗経営の場合
店舗ごとに部門を設定することで、各店舗の売上・原価率・固定費を比較できます。「A店は売上は多いが原価率が高く利益が薄い」「B店は売上は少ないが利益率が高い」といった分析が可能になります。
共通経費の按分
複数部門にまたがる経費(家賃、光熱費、通信費など)は、一定の基準で按分して各部門に配分します。按分基準は面積比、売上比、人員比などが一般的です。会計ソフトによっては按分の自動計算機能が搭載されているものもあります。

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よくある質問
Q. 個人事業主でも部門管理は必要?
1つの事業だけを営んでいる場合は、部門管理は不要です。しかし、副業的に別の事業も行っている場合や、将来的に事業を拡大する予定がある場合は、早めに部門管理を導入しておくと後から分析しやすくなります。
Q. 途中から部門管理を始められる?
可能です。会計ソフトに部門を追加登録して、それ以降の仕訳に部門を紐づければOKです。過去の仕訳にも遡って部門を設定できますが、取引数が多い場合は手間がかかるため、年度の切り替わりのタイミングで始めるのがスムーズです。
Q. 確定申告に部門管理は影響する?
部門管理はあくまで経営管理のためのもので、確定申告書の記載内容には直接影響しません。確定申告書には事業全体の所得を記載するため、部門別のデータは内部管理資料として活用する形になります。
Q. freeeの「タグ」とマネーフォワードの「部門」、どちらを使うべき?
freeeのタグは自由度が高く、複数のタグを1つの仕訳に設定できます。一方、マネーフォワードの部門は階層構造と予算管理に強いです。フリーランスで柔軟に案件管理したいならfreeeのタグ、法人で組織的な予算管理をしたいならマネーフォワードの部門管理が向いています。
まとめ
会計ソフトの部門管理機能を活用すれば、事業全体だけでなく、部門・プロジェクト・店舗ごとの収支が見える化されます。
- 柔軟な分類と分析を重視するなら → freee会計(部門+タグの掛け合わせ)
- 予算管理まで一元化したいなら → マネーフォワード クラウド会計
- シンプルな部門分けで十分なら → 弥生会計 Next
まずは2〜3部門から始めて、経営判断に役立つデータを蓄積していきましょう。
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