「青色申告ってお得って聞くけど、具体的に何がいいの?」「手間が増えるって聞いて迷ってる…」――個人事業主やフリーランスの方なら、一度はこうした疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。
青色申告には節税面で大きなメリットがある一方、帳簿付けの手間が増えるなどのデメリットもあります。この記事では、青色申告のメリットとデメリットを具体的な金額を交えて解説し、白色申告との違いも比較します。自分に合った申告方法を選ぶ参考にしてください。

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そもそも青色申告とは?
青色申告は、一定水準の帳簿を備えて正しい記帳を行うことを条件に、税制上のさまざまな優遇措置を受けられる制度です。事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある方が対象で、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
これに対し、青色申告の届出をしていない方は自動的に「白色申告」となります。白色申告は手続きが簡単な反面、青色申告で受けられる優遇措置がありません。
青色申告の7つのメリット
メリット1:最大65万円の青色申告特別控除
青色申告の最大のメリットといえるのが、最大65万円の特別控除です。これは所得金額から直接差し引ける控除で、その分だけ課税所得が減り、所得税・住民税・国民健康保険料が軽減されます。
65万円控除を受けるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 複式簿記で記帳していること
- 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること
- e-Taxで申告する、または電子帳簿保存を行うこと
- 期限内に申告すること
e-Taxを利用しない場合は55万円控除、簡易簿記の場合は10万円控除となります。
所得税率20%の方が65万円控除を受けると、所得税だけで約13万円、住民税(10%)で約6.5万円、合計で約19.5万円の節税効果があります。国民健康保険料の軽減も合わせると、年間20万円以上の差が出るケースも珍しくありません。
メリット2:赤字を3年間繰り越せる(純損失の繰越控除)
事業で赤字が出た場合、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺することができます。これにより、開業初年度に赤字が出ても、翌年以降の税負担を軽減できます。
たとえば、初年度に100万円の赤字、2年目に200万円の黒字が出た場合、2年目の課税所得は200万円ではなく100万円として計算されます。
メリット3:家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)
青色申告者は、生計を一にする配偶者や親族に支払う給与を経費として計上できます。これを「青色事業専従者給与」といいます。白色申告にも「事業専従者控除」がありますが、控除額は配偶者86万円・その他の親族50万円と上限があります。
青色事業専従者給与には上限がなく(仕事内容に対して適正な金額であることが条件)、より大きな節税効果が期待できます。
メリット4:少額減価償却資産の特例
通常、10万円以上の固定資産は減価償却が必要ですが、青色申告者は30万円未満の減価償却資産を購入した年に一括で経費にできる特例があります(年間合計300万円まで)。パソコンやオフィス家具の購入時に便利な制度です。
メリット5:貸倒引当金の計上
売掛金や貸付金の回収不能に備えて、貸倒引当金を経費として計上できます。年末の売掛金等の残高の5.5%以下を必要経費にできるため、実際に貸し倒れが発生する前にリスクを織り込めます。
メリット6:純損失の繰戻し還付
前年が黒字で今年が赤字になった場合、前年に納めた所得税の一部を還付してもらえる制度です。繰越控除が将来の税金を減らす制度であるのに対し、繰戻し還付はすでに支払った税金が返ってくる点が異なります。
メリット7:帳簿が経営管理に役立つ
青色申告のために複式簿記で帳簿をつけることで、事業のお金の流れが可視化されます。売上・経費・利益の推移が正確に把握でき、経営判断の精度が向上します。これは直接的な節税メリットではありませんが、事業を長期的に成長させるうえで非常に重要な要素です。

青色申告の3つのデメリット
デメリット1:帳簿付けの手間が増える
65万円控除を受けるには複式簿記での記帳が必要です。「借方」「貸方」という独特の概念があり、簿記の知識がない方にはハードルが高く感じられるかもしれません。
ただし、会計ソフトを使えば、日々の取引を入力するだけで自動的に複式簿記の帳簿が作成されます。簿記の知識がなくても対応できるため、実質的なハードルはかなり下がっています。
デメリット2:事前の届出が必要
青色申告を始めるには、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。提出期限は以下の通りです。
- 新規開業の場合:開業日から2ヶ月以内
- 白色申告から切り替える場合:青色申告をしたい年の3月15日まで
この届出を忘れると、その年は青色申告ができません。「今年から青色にしよう」と思い立っても、期限を過ぎていたら翌年からの適用となります。
青色申告承認申請書の提出期限は厳格です。1日でも遅れると、その年は青色申告が認められません。開業届と一緒に提出するのが確実です。
デメリット3:期限後申告だと控除が減額される
青色申告の65万円控除(または55万円控除)は、期限内に申告することが条件です。申告期限を1日でも過ぎると10万円控除に減額されてしまいます。白色申告にはこうしたリスクがないため、「ギリギリで間に合わないかもしれない」という不安がある方にとってはデメリットといえます。
青色申告と白色申告の比較表
両者の違いを一覧で整理しました。
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 特別控除 | 最大65万円 | なし |
| 記帳方法 | 複式簿記(65万円の場合) | 簡易な記帳 |
| 赤字の繰越 | 3年間可能 | 不可 |
| 専従者給与 | 上限なし(適正額) | 配偶者86万円・他50万円 |
| 少額減価償却 | 30万円未満一括経費 | 10万円未満のみ |
| 貸倒引当金 | 計上可能 | 不可 |
| 事前届出 | 必要 | 不要 |
| 帳簿の手間 | やや多い | 少ない |

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青色申告に向いている人・向いていない人
青色申告に向いている人
- 年間の事業所得がある程度ある方(控除額の恩恵が大きい)
- 会計ソフトを使って帳簿管理ができる方
- 家族に給与を支払って経費にしたい方
- 開業したばかりで赤字が見込まれる方(繰越控除が活用できる)
- 経費が多く、30万円未満の備品購入が多い方
白色申告でも問題ない人
- 副業レベルで事業規模が小さい方
- 所得が少なく、控除の恩恵が限定的な方
- 帳簿付けにどうしても時間を割けない方
ただし、白色申告でも記帳義務は課されているため、「帳簿をつけなくていい」わけではありません。どうせ記帳するなら、メリットの大きい青色申告を選んだ方が合理的といえます。
青色申告を始める手順
青色申告を始めるための手順は以下の通りです。
ステップ1:開業届を提出する
まだ開業届を出していない場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出します。国税庁のWebサイトから用紙をダウンロードできます。
ステップ2:青色申告承認申請書を提出する
「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。開業届と同時に提出するのがスムーズです。
ステップ3:会計ソフトを導入する
複式簿記での記帳を効率化するため、会計ソフトの導入を強くおすすめします。クラウド型の会計ソフトであれば、銀行口座やクレジットカードとの自動連携が可能で、仕訳の手間を大幅に削減できます。
ステップ4:日々の記帳を行う
売上や経費が発生するたびに記帳します。溜め込むと大変なので、最低でも月に1回はまとめて入力する習慣をつけましょう。
ステップ5:確定申告書と決算書を作成して提出
年度末に青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)と確定申告書を作成し、期限内に提出します。会計ソフトを使えばこれらの書類も自動で作成されます。

よくある質問(Q&A)
Q1. 青色申告は副業でも使えますか?
副業の所得が「事業所得」として認められる場合は青色申告が可能です。ただし、継続性・反復性がなく「雑所得」と判断される場合は青色申告の対象外となります。事業として行っている実態があるかどうかがポイントです。
Q2. 青色申告をやめて白色に戻すことはできますか?
はい、可能です。「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を青色申告をやめたい年の翌年3月15日までに提出すれば、白色申告に戻れます。ただし、再度青色申告に戻るには改めて承認申請が必要です。
Q3. 簿記の知識がなくても青色申告はできますか?
会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても複式簿記の帳簿を作成できます。多くの会計ソフトでは、売上や経費の入力をすると自動で仕訳が行われるため、「借方・貸方」を意識する場面は少ないです。
Q4. 青色申告の届出を出し忘れた場合、今年は白色申告するしかないですか?
はい、残念ながらその年は白色申告となります。来年から青色申告をしたい場合は、その年の3月15日までに承認申請書を提出してください。
Q5. 65万円控除と55万円控除の違いは何ですか?
どちらも複式簿記・貸借対照表の作成が条件ですが、65万円控除を受けるにはe-Taxでの申告または電子帳簿保存が必要です。紙で提出する場合は55万円控除となります。10万円の差は税額で数万円の違いになるため、できればe-Taxを利用するのがおすすめです。
Q6. 不動産所得でも青色申告の65万円控除は受けられますか?
不動産所得の場合、65万円控除を受けるには「事業的規模」であることが条件です。一般的に、アパート等は10室以上、戸建ては5棟以上が目安とされています。事業的規模に満たない場合でも、10万円控除は受けられます。
まとめ
青色申告は、65万円控除をはじめ、赤字の繰越・専従者給与・少額減価償却など多くのメリットがある制度です。デメリットは帳簿付けの手間と事前届出の必要性ですが、会計ソフトを活用すれば手間は大幅に軽減されます。
節税効果の大きさを考えると、事業所得がある方は積極的に青色申告を選択することをおすすめします。まだ届出をしていない方は、来年に向けて早めに準備を始めましょう。
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