「電子帳簿保存法って、結局うちの会計ソフトで対応できてるの?」と疑問に感じていませんか。電子取引データの保存が完全義務化され、メールで受け取った請求書PDFやECサイトの領収書を紙に印刷して保存することは原則認められなくなりました。
電子帳簿保存法への対応は、クラウド型の会計ソフトを正しく使えばほぼ自動で完了します。必要以上に怖がる必要はありませんが、最低限の設定と運用ルールだけは押さえておきましょう。
この記事では、電子帳簿保存法の基本から、会計ソフトに求められる対応機能、freee・マネーフォワード・弥生の対応状況、具体的な実務手順まで詳しく解説します。

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電子帳簿保存法の3つの区分を理解する
電子帳簿保存法は、大きく3つの区分に分かれています。それぞれの概要と義務・任意の区別を押さえておきましょう。
1. 電子帳簿等保存(任意)
会計ソフトで作成した帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)や決算書を、紙に印刷せず電子データのまま保存する制度です。任意の制度で義務ではありませんが、「優良な電子帳簿」として保存すると、過少申告加算税が5%軽減される特典があります。さらに、2027年分の申告からは75万円控除の要件にもなるため、対応しておくメリットは大きいです。
2. スキャナ保存(任意)
紙で受け取った領収書や請求書をスキャンして電子データとして保存する制度です。こちらも任意ですが、紙の書類を電子化すればファイリングの手間が省けます。一定の解像度(200dpi以上)やタイムスタンプの要件を満たす必要がありますが、クラウド会計ソフトのレシート撮影機能を使えば多くの要件を自動的にクリアできます。
3. 電子取引データ保存(義務)
メールやクラウドサービスで受け取った請求書PDF、ECサイトのレシートデータなど、電子的に授受した取引データをそのまま電子保存する義務があります。2024年1月に完全義務化されており、紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません。
- 電子取引データ保存は全事業者に義務付け(2024年1月から猶予措置なし)
- 保存にあたっては「検索機能の確保」または「整然とした状態での保存」が求められる
- 未対応の場合、税務調査時に青色申告の取り消しや重加算税のリスクがある
- 対象となる書類:メール添付の請求書PDF、ECサイトの領収書、クラウドサインの契約書など

会計ソフトに求められる電子帳簿保存法の対応機能
電子取引データの保存・添付機能
メールで受け取った請求書や、クラウドサービスからダウンロードした領収書を、会計ソフト上にアップロードして仕訳に紐づけて保存できる機能です。freee・マネーフォワード・弥生いずれも、ファイル添付機能で電子取引データを保存できます。
検索機能の確保
電子取引データの保存には「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できる状態が求められます。ただし、基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者は、税務職員の求めに応じてデータを提示・提出できる状態であれば、検索機能の確保は不要です(国税庁 電子帳簿保存法の特設ページ)。
売上高5,000万円以下の場合はフォルダ管理でも対応可能です。ファイル名を「日付_金額_取引先名」(例:20260715_10780_Xserver_請求書)の形式で統一すれば、ファイル名検索で要件を満たせます。
タイムスタンプ機能(スキャナ保存の場合)
紙の領収書をスキャンして保存する場合は、タイムスタンプの付与が必要です。ただし、訂正削除の履歴が残るシステム(クラウド会計ソフトなど)を使う場合はタイムスタンプ不要です。これにより、スマホで撮影してクラウドにアップロードするだけでスキャナ保存の要件を満たせるケースが増えています。
優良な電子帳簿の要件
2027年分の申告から、青色申告の最大控除額が65万円から75万円に拡大されます。この75万円控除を受けるには「優良な電子帳簿」での保存が必須です。優良な電子帳簿の主な要件は以下の通りです。
- 訂正・削除の履歴が残ること
- 通常の帳簿との相互関連性が確保されていること
- 日付・金額・取引先での検索ができること
- 帳簿データを画面や紙に出力できること
freee・マネーフォワード・弥生はいずれも優良電子帳簿の要件を満たす機能を備えています。ただし、設定の有効化と税務署への届出書の提出が必要です。

freee・マネーフォワード・弥生の電子帳簿保存法対応を比較
freee会計
freeeはレシートや請求書をスマホで撮影してアップロードする機能が充実しています。AI-OCRで金額や日付を自動読み取りし、仕訳候補を提案してくれるため、入力の手間が省けます。電子取引データの保存機能も標準搭載されており、追加料金なしで利用できます。ファイルボックス機能を使えば、証憑を一元管理でき、検索要件も自動で満たせます。
マネーフォワード クラウド
マネーフォワードは、電子帳簿保存法に対応した「マネーフォワード クラウドBox」という書類保存機能を提供しています。請求書・領収書・契約書などをクラウド上で一元管理でき、検索要件も自動で満たせる仕組みです。会計ソフトとの連携もスムーズで、アップロードしたファイルを仕訳に紐づけることができます。
弥生会計オンライン
弥生は「スマート証憑管理」というサービスで電子帳簿保存法に対応しています。やよいの青色申告オンラインやMisocaと連携し、受領した証憑をクラウド上に保存・管理できます。操作がシンプルで、ITに詳しくない方でも使いやすい設計です。無料プランでも基本的なスキャン保存・電子取引データ保存に対応しています。
個人事業主が今すぐやるべき実務対応4ステップ
ステップ1:電子取引を洗い出す
自分がメールやクラウドサービスで受け取っている請求書・領収書をリストアップしましょう。Amazonやモノタロウなどのネット購入、サーバー代やドメイン代の請求書、クラウドサービスの利用料明細、クレジットカードの利用明細なども該当します。
ステップ2:保存ルールを決める
会計ソフトにアップロードして保存するか、フォルダ管理で保存するかを決めます。売上5,000万円以下の個人事業主なら、フォルダに「日付_金額_取引先名」形式でファイルを保存するだけでもOKです。フォルダ構成は「年度フォルダ → 月別フォルダ → ファイル」の3階層がおすすめです。
ステップ3:会計ソフトの設定を確認する
使っている会計ソフトで、電子帳簿保存法の対応設定が有効になっているか確認しましょう。特に優良電子帳簿の機能を使いたい場合は、設定をONにして税務署への届出書(「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る届出書」)を提出する必要があります。
ステップ4:日々の運用に組み込む
電子取引データの保存は、溜めてからまとめてやろうとすると漏れが生じます。メールで請求書を受け取ったら、その日のうちに保存する習慣をつけましょう。毎週金曜日に1週間分を整理する、月末にまとめて処理する、など自分なりのルーティンを決めておくのも有効です。

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電子帳簿保存法の改正ポイント(最新情報)
2027年分からの75万円控除
令和8年度税制改正により、青色申告特別控除の最大額が65万円から75万円に拡大されます。この適用を受けるには「優良な電子帳簿」の要件を満たしたうえで、e-Taxで申告する必要があります。10万円の控除増額は税率にもよりますが、所得税と住民税の合計で年間2〜3万円程度の節税効果があります。
スキャナ保存の要件緩和
スキャナ保存の要件は段階的に緩和されてきています。入力期限の撤廃や、相互牽制要件の緩和により、個人事業主でもスキャナ保存に取り組みやすくなりました。スマホで撮影してクラウドにアップロードする方法で十分対応可能です。
Q&Aコーナー
Q1. 電子帳簿保存法に対応していないとどんなペナルティがある?
即時の罰則はありませんが、税務調査の際に電子取引データが適切に保存されていないと判断された場合、青色申告の承認が取り消されるリスクがあります。また、仕入税額控除が認められなくなる可能性もあります。
Q2. 紙で受け取った領収書も電子保存しないといけない?
紙で受け取った領収書は、紙のまま保存すればOKです。電子保存が義務なのは「電子的に授受した取引データ」だけです。ただし、紙の領収書をスキャンして電子保存する(スキャナ保存)ことは任意で可能で、紙を捨てられるメリットがあります。
Q3. 無料の会計ソフトでも電子帳簿保存法に対応できる?
やよいの白色申告オンラインなど、無料プランでも電子帳簿保存法の基本要件に対応しているソフトはあります。ただし、プランによって保存容量やOCR機能に制限がある場合があるので、公式サイトで確認してください。
Q4. フォルダ管理で対応する場合のベストな方法は?
「年度フォルダ → 月別フォルダ → ファイル名(日付_金額_取引先名_書類種別)」の3階層がおすすめです。例:「2026年 → 07月 → 20260715_10780_Xserver_請求書.pdf」のように管理すれば、手動検索でも十分に対応できます。
Q5. 電子帳簿保存法とインボイス制度は別物?
別の制度ですが、密接に関係しています。インボイス制度で受け取った適格請求書が電子データ(PDF等)の場合、その保存方法は電子帳簿保存法のルールに従う必要があります。両方の制度を同時に満たすには、クラウド会計ソフトを使うのが最も効率的です。

まとめ
電子帳簿保存法で個人事業主が対応すべきは、主に「電子取引データの保存」です。メールやクラウドで受け取った請求書・領収書を電子のまま保存する義務があり、紙への印刷だけでは要件を満たしません。
クラウド型の会計ソフトを使えば、電子取引データの保存機能や検索要件を自動で満たせるため、難しいことを考える必要はほとんどありません。2027年分からは75万円控除のチャンスもあるので、優良電子帳簿の設定も忘れずに確認しておきましょう。
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