事業の一部を外部の業者やフリーランスに委託した場合、支払った費用は「外注費」として経費に計上できます。しかし、「外注費ってどの勘定科目を使うの?」「源泉徴収は必要なの?」「給与との違いは?」と疑問に思ったことはありませんか。
外注費の処理を間違えると、税務調査で「給与」として認定され、源泉所得税の追徴課税を受けるリスクがあります。正しい仕訳方法と判断基準を押さえておくことが大切です。
この記事では、外注費の仕訳方法から、源泉徴収の要否、給与との区分基準、具体的な仕訳例まで網羅的に解説します。

🐧 ナビ助のおすすめ!
いっそ税理士に任せたくなってきた?

- ✅ 記帳から申告まで税理士に任せられます
- ✅ 自分で帳簿をつける時間を別のことに使えます
- ✅ 料金プランは公式サイトで確認できます
- ✅ まずは相談から始められます
※料金・プランの詳細は公式サイトでご確認ください
⭐おすすめ記事
自分でやるか任せるかで迷ったら、こちらもどうぞ。

外注費とは
外注費の定義
外注費とは、事業の一部を外部の事業者(法人・個人事業主)に委託し、その対価として支払う費用のことです。具体的には以下のような取引が該当します。
- Webサイト制作やデザイン業務の委託
- 記事執筆やライティングの外注
- 建設現場の一部工事の下請け
- 税理士や弁護士への業務委託
- 清掃やメンテナンス業務の委託
- システム開発やプログラミングの外注
外注費に使う勘定科目
外注費の仕訳で使う主な勘定科目は「外注費」「外注工賃」「業務委託費」のいずれかです。どの勘定科目を使っても構いませんが、一度選んだら会計処理では統一して使い続けることが大切です。
なお、個人事業主の青色申告決算書では「外注工賃」という勘定科目があらかじめ用意されています(マネーフォワード 外注費の仕訳)。
外注費と給与の違い


税務上の判断基準
税務調査で問題になりやすいのが、「外注費なのか給与なのか」の区分です。形式上は業務委託契約であっても、実態が雇用関係に近い場合は「給与」として認定される可能性があります。
外注費と判定されるケース
- 業務の遂行方法について指揮命令を受けない
- 仕事の完成物に対して報酬が支払われる
- 自分の道具や機材を使って作業する
- 他の会社の仕事も受けている
- 作業時間や場所が自由に選べる
給与と判定されるケース
- 会社の指揮命令のもとで業務を行う
- 勤務時間や場所が指定されている
- 時間単位で報酬が決まる
- 会社の機材や設備を使って作業する
- その会社の仕事しか受けていない
外注費が給与と認定されるとどうなるか
外注費が給与と認定されると、以下のリスクが発生します。
- 源泉所得税の追徴課税(不納付加算税・延滞税を含む)
- 消費税の仕入税額控除が否認される(給与は消費税の課税仕入れに該当しないため)
- 社会保険料の遡及適用の可能性
給与認定されると消費税・所得税の両面でペナルティが発生するため、外注であることを証明できる契約書や業務実態の記録を残しておくことが重要です。


外注費の源泉徴収


源泉徴収が必要なケース
外注費は原則として源泉徴収の対象外ですが、所得税法第204条に規定する報酬・料金に該当する場合は源泉徴収が必要です。
源泉徴収が必要な報酬の例
- 原稿料・講演料
- デザイン報酬
- 翻訳の報酬
- 弁護士・税理士・司法書士等への報酬
- プロスポーツ選手・モデル等への報酬
- 映画・テレビなどの出演料
源泉徴収が不要な報酬の例
- 建設・建築の下請け工事代金
- 清掃業務の委託費
- プログラミングの委託費(デザインを含まない場合)
- 運送業務の委託費
源泉徴収税額の計算方法
源泉徴収が必要な報酬に対する税率は以下の通りです。
- 支払額が100万円以下の場合:支払額 x 10.21%
- 支払額が100万円超の場合:100万円以下の部分は10.21%、超過分は20.42%
外注費の具体的な仕訳例
ケース1:源泉徴収なしの外注費
【取引内容】プログラミング業務を外注し、55,000円(税込)を銀行振込で支払いました。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 外注費 | 50,000円 | 普通預金 | 55,000円 |
| 仮払消費税等 | 5,000円 |
ケース2:源泉徴収ありの外注費
【取引内容】デザイン業務を個人の外注先に委託し、報酬55,000円(税込)から源泉所得税を差し引いて支払いました。
源泉所得税 = 50,000円(税抜報酬)x 10.21% = 5,105円
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 外注費 | 50,000円 | 普通預金 | 49,895円 |
| 仮払消費税等 | 5,000円 | 預り金(源泉所得税) | 5,105円 |
差し引いた源泉所得税は、翌月10日まで(納期の特例を受けている場合は年2回)に税務署に納付します。
ケース3:法人への外注費
【取引内容】法人にWeb制作を委託し、220,000円(税込)を銀行振込で支払いました。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 外注費 | 200,000円 | 普通預金 | 220,000円 |
| 仮払消費税等 | 20,000円 |
法人への支払いでは、原則として源泉徴収は不要です(弁護士法人等への報酬は除く)。


インボイス制度と外注費の関係
インボイス制度の導入により、外注先がインボイス発行事業者でない場合、仕入税額控除に影響が出ます。経過措置として一定割合の控除は認められていますが、2026年10月以降は控除割合が50%に引き下げられるため、外注先のインボイス登録状況を確認しておくことが重要です。
外注先が免税事業者の場合、控除できない消費税分のコストを誰が負担するかは、取引先との協議で決めることになります。一方的な値下げ要求は独占禁止法等に抵触する可能性がある点にも留意してください。
会計ソフトで外注費を効率的に処理する方法
クラウド会計ソフトを使えば、外注費の仕訳は効率的に処理できます。銀行口座との連携機能を使えば、振込データから自動で外注費の仕訳候補を生成してくれます。
また、取引先ごとに「源泉徴収あり/なし」の設定を登録しておけば、仕訳入力時に自動で源泉所得税を計算してくれるソフトもあります。freeeでは「取引先」に源泉徴収の設定を紐づけることが可能です。
関連記事: freeeの使い方を初心者向けに解説
関連記事: 個人事業主の源泉徴収を徹底解説
よくある質問(Q&A)
Q. 外注費の支払いに消費税はかかりますか?
はい、外注費は原則として消費税の課税取引です。ただし、外注先がインボイス発行事業者でない場合は、経過措置の範囲内でしか仕入税額控除ができません。
Q. 個人事業主が友人に仕事を手伝ってもらった場合は外注費になりますか?
業務委託として依頼し、成果物に対する対価を支払う形であれば外注費として処理できます。ただし、指揮命令のもとで時間給で支払う場合は「給与」として処理すべきです。契約の形態と実態が一致していることが重要です。
Q. 外注費の計上タイミングはいつですか?
外注先から成果物を受け取った時点(検収基準)、またはサービスの提供を受けた時点で計上するのが原則です。支払日ではなく、役務の提供を受けた日が基準になります。
Q. クラウドソーシングでの発注は外注費ですか?
はい、クラウドソーシング(ランサーズ、クラウドワークスなど)で発注した業務の対価は外注費として処理します。プラットフォームの手数料が差し引かれている場合は、手数料分を「支払手数料」として別計上することも可能です。
外注費の税務調査対策


税務調査で外注費について指摘を受けないためには、日頃から以下の書類を整備しておくことが重要です。
- 業務委託契約書:業務内容、報酬の算定方法、納期、成果物の定義を明記
- 発注書・請書:個別の業務ごとに発注内容と金額を記録
- 請求書:外注先から受領した請求書を保管
- 成果物の記録:納品されたファイルやメールのやり取りを保存
- 支払い記録:銀行振込の明細を保管
特に「業務委託なのか雇用なのか」が曖昧なケースでは、契約書に指揮命令関係がないことを明記し、実際の業務実態も契約内容と一致させておくことが重要です。形式だけ整えても実態が伴っていなければ、給与認定のリスクは残ります。
Q. 海外の外注先への支払いはどう処理しますか?
海外のフリーランスや企業への業務委託費は「外注費」として処理します。消費税については、海外からのサービス提供(リバースチャージ方式の対象)の場合は消費税の取り扱いが異なるため、税理士への確認をおすすめします。また、海外送金手数料は「支払手数料」として別途計上します。
Q. 外注費と業務委託費は同じですか?
会計上は基本的に同じ意味で使われます。「外注費」「外注工賃」「業務委託費」はいずれも外部への業務委託に対する支払いを表す勘定科目です。会社や事業の慣行に合わせてどれか一つを選んで統一すれば問題ありません。
支払調書と源泉徴収まわりの事務用品
外注先に報酬を支払って源泉徴収をした場合、翌年に支払調書を作成する場面が出てきます。専用の用紙を使うと項目の書き漏らしを防ぎやすく、控えの保管もそろえやすくなります。
作成した書類を郵送する場合は、宛名書きの手間を減らせる窓付き封筒を用意しておくと作業が短くなります。
まとめ
外注費の仕訳は、勘定科目の選択、源泉徴収の要否、給与との区分の3つを正しく理解することが大切です。特に税務調査では外注費と給与の区分が重点的にチェックされるため、契約書や業務記録をきちんと残しておきましょう。
会計ソフトを活用すれば、源泉徴収額の自動計算や仕訳の効率化が図れます。外注先が増えてきたら、取引先ごとの設定を見直して、日々の経理をスムーズに進めてください。
参考: freee 外注費に使う勘定科目
参考: マネーフォワード 外注費とは
⭐おすすめ記事
自分でやるか任せるかで迷ったら、こちらもどうぞ。



🐧 ナビ助のおすすめ!
いっそ税理士に任せたくなってきた?

- ✅ 記帳から申告まで税理士に任せられます
- ✅ 自分で帳簿をつける時間を別のことに使えます
- ✅ 料金プランは公式サイトで確認できます
- ✅ まずは相談から始められます
※料金・プランの詳細は公式サイトでご確認ください


