経費精算のたびに紙の領収書を整理するのは、時間も手間もかかる作業です。電子帳簿保存法では、領収書をスマホで撮影して電子データとして保存することが認められています。
この記事では、領収書を電子化する具体的な方法と注意点、電子帳簿保存法の要件を満たすためのポイントを解説していきます。

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領収書の電子化が認められる仕組み
電子帳簿保存法の「スキャナ保存」制度を利用すれば、紙の領収書をスキャナやスマートフォンで読み取り、電子データとして保存することが可能です。要件を満たした電子データを保存していれば、紙の原本は処分できるようになります。
また、そもそもメールやWebサービスで電子的に受け取った領収書は、「電子取引データ保存」の区分に該当し、電子データのまま保存することが義務化されています。
紙の領収書と電子領収書で対応が異なる
紙の領収書
- 従来通り紙で保存してもOK(スキャナ保存は任意)
- スキャナ保存する場合は、所定の要件を満たす必要がある
電子で受け取った領収書
- 電子データのまま保存することが義務
- 印刷して紙で保存するだけでは不可
領収書を電子化する3つの方法
方法1:スマートフォンで撮影する
最も手軽な方法です。レシートや領収書をスマートフォンのカメラで撮影し、電子データとして保存します。
撮影時のポイント
- 書類の全体が写っていること(四隅が切れないように)
- 文字がはっきり読めること
- 解像度200dpi以上(一般的なスマホなら通常設定で十分)
- カラーで撮影すること(一般書類はグレースケールでも可)
- 裏面に記載がある場合は裏面も撮影する
撮影した画像は、会計ソフトの証憑管理機能にアップロードするのが最も効率的です。freee・マネーフォワード・弥生のスマホアプリには、レシート撮影機能が搭載されています。
方法2:スキャナで読み取る
複合機やドキュメントスキャナで大量の領収書を一括読み取りする方法です。ScanSnapなどのドキュメントスキャナを使えば、領収書を重ねてセットするだけで連続スキャンが可能です。大量の紙書類を扱う場合は、スマホ撮影よりもスキャナのほうが効率的です。ただし、スキャナの購入コストがかかる点は考慮しましょう。
方法3:会計ソフトのOCR機能を活用する
freee・マネーフォワードなどの会計ソフトには、レシートの画像をOCR(光学文字認識)で自動読み取りする機能が搭載されています。撮影してアップロードするだけで、金額・取引日・取引先名が自動認識され、仕訳候補まで提案してくれます。OCRの精度は完全ではないため、読み取り結果は必要に応じて手動で修正しましょう。


電子化する際の注意点
入力期間を守る
スキャナ保存の場合、書類を受け取ってから最長「2か月+7営業日以内」にスキャン・撮影する必要があります。「後でまとめてやろう」と放置すると期限を過ぎてしまうので、受け取ったその日に撮影する習慣をつけるのがおすすめです。
データの改ざん防止策
電子化したデータの信頼性を確保するため、以下のいずれかの措置が必要です。
- タイムスタンプを付与する
- 訂正・削除の履歴が残るシステムで管理する
- 事務処理規程を作成して備え付ける
クラウド会計ソフトを使っていれば、訂正・削除の履歴が自動で記録されるため、タイムスタンプの付与は不要です。これが会計ソフトを活用する大きなメリットです。
電子領収書はそのまま保存する
Amazonやネットショップで購入した際にメールで届く領収書、クレジットカード会社のWeb明細などは、電子取引データとしてそのまま電子データで保存する必要があります。PDFでダウンロードして、ファイル名に「日付_金額_取引先」を含めて保存するか、会計ソフトにアップロードしましょう。
会計ソフト別の対応状況
freee
freeeのスマホアプリにはレシート撮影・OCR機能が標準搭載されています。撮影した画像は自動で証憑管理に保存され、仕訳との紐づけも画面上で簡単に行えます。ファイルボックス機能で電子帳簿保存法の要件に対応しています。
マネーフォワード
マネーフォワードクラウドの証憑管理機能を使えば、スマホで撮影するだけで金額や日付が自動入力されます。電子帳簿保存法対応のタイムスタンプ機能も備わっています。
弥生
やよいの青色申告オンライン・弥生会計オンラインには「スマート証憑管理」機能があり、レシートや領収書のスキャンデータをクラウド上で一元管理できます。電子帳簿保存法の要件にも対応しています。


よくある質問(Q&A)
Q. 領収書を電子化したら原本はすぐ捨てていい?
スキャナ保存の要件を満たしていれば原本は処分可能です。ただし、データの確認が済んでからにしましょう。目安として、スキャン後1から2か月程度は原本を保管しておくと安心です。
Q. 個人的な買い物のレシートも電子化が必要?
事業に関係のない個人的な買い物のレシートは対象外です。電子帳簿保存法の対象は、あくまで国税関係の書類に限られます。
Q. 電子化に対応していない小規模事業者はどうすればいい?
紙の領収書は従来通り紙で保存すればOKです(スキャナ保存は任意)。ただし、メールやWebで受け取った電子的な領収書は、電子データのまま保存することが義務なので、この点だけは対応が必要です。ファイル名を「日付_金額_取引先」にして整理するだけでも対応できます。
Q. 出張先でもらったレシートもスマホ撮影でいい?
もちろんOKです。出張先でもらったレシートこそ、その場でスマホ撮影しておくと紛失を防げます。旅費交通費や接待交際費の領収書はなくしやすいので、受け取ったらすぐに撮影してアップロードする習慣をつけておくと安心です。


領収書の保存期間
電子化した領収書データの保存期間は、原則として7年間(青色申告で欠損金の繰越控除を受ける場合は10年間)です。紙の領収書を処分した場合でも、電子データは必ずこの期間保存しておく必要があります。
クラウド会計ソフトを利用していれば、データはクラウド上に自動保存されるため、保存期間の管理もしやすくなります。ただし、サービスを解約する際はデータのエクスポートを忘れないようにしましょう。
電子化を効率的に進めるためのコツ
毎日の習慣にする
領収書やレシートは、受け取ったその日のうちに撮影してアップロードするのが理想的です。「まとめてやろう」と後回しにすると、入力期間の制限を超えてしまったり、レシートを紛失したりするリスクがあります。毎日の退勤前や夕食後など、決まったタイミングで処理する習慣をつけると続けやすくなります。
経費の分類を先に決めておく
よく使う勘定科目(消耗品費・交通費・通信費など)をあらかじめ整理しておくと、仕訳の判断に迷わなくなります。会計ソフトの「仕訳ルール」機能を使えば、特定の取引先からの支払いを自動的に特定の科目に分類してくれるので、さらに効率が上がります。
レシートの管理を物理的にも整理する
電子化が完了するまでの間、紙のレシートを「未処理」と「処理済み」で分けておくと、漏れを防ぎやすくなります。100均で買える小さなファイルケースを2つ用意して、財布からレシートを出したら「未処理」ケースに入れ、撮影が済んだら「処理済み」ケースに移すだけでOKです。
電子化の作業をラクにする道具
領収書の電子化でつまずきやすいのが、たまってしまった紙の束を最初に片づける段階です。日々の1枚ならスマホ撮影で十分ですが、過去分をまとめて取り込むならドキュメントスキャナーがあると作業が進めやすくなります。両面を一度に読み取れるタイプなら、レシートの裏に日付や用途をメモしている場合にも対応できます。
また、保存期間が7年(欠損金の繰越控除を受ける場合は10年)と長いぶん、クラウドだけに任せずバックアップ先も用意しておくという手もあります。会計ソフトを解約したあとのデータ置き場として、ポータブルSSDを1台持っておく方も多いです。実際の容量や価格は各ショップで確認してみてください。
まとめ
電子帳簿保存法に対応した領収書の電子化は、スマホ撮影・スキャナ読み取り・会計ソフトのOCR活用という3つの方法があります。紙の領収書のスキャナ保存は任意ですが、電子で受け取った領収書の電子保存は義務なので注意しましょう。
会計ソフトの証憑管理機能を活用すれば、タイムスタンプの付与や検索要件の充足を自動化でき、手間をかけずに法対応が完了します。ペーパーレス化を進めて、経理業務を効率化していきましょう。
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