個人事業主の経理は、日々の記帳だけではありません。1年を通して、税金の納付や届出、決算準備など、時期ごとにやるべき作業が決まっています。
スケジュールを把握していないと、「うっかり申告期限を過ぎていた」「届出書の提出を忘れていた」といったトラブルにつながります。特に確定申告の期限を過ぎると延滞税や無申告加算税のペナルティが発生するため、注意が必要です。
年間スケジュールを頭に入れておけば、期限に追われることなく余裕を持って経理を進められます。この記事では、個人事業主の経理で発生する年次作業を月別に整理して解説します。

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個人事業主の経理カレンダー【月別一覧】
1月:年間スタート・前年の締め作業
- 前年分の帳簿を締める(12月31日が決算日)
- 決算整理仕訳を行う(減価償却・家事按分・棚卸など)
- 青色申告決算書(または収支内訳書)の作成開始
- 1月末:法定調書・給与支払報告書の提出(従業員がいる場合)
- 1月末:償却資産税の申告(固定資産がある場合)
- 1月20日:源泉所得税の納付(7〜12月分、納期の特例を利用している場合)
2月:確定申告の準備
- 2月16日〜:所得税の確定申告受付開始
- 確定申告書の作成(e-Tax推奨)
- 控除証明書の確認(生命保険料控除、社会保険料控除など)
- ふるさと納税の寄附金受領証明書の確認
3月:確定申告の提出・納税
- 3月15日:所得税の確定申告期限・納付期限
- 3月31日:消費税の確定申告期限・納付期限(課税事業者の場合)
- 振替納税を利用する場合は口座残高の確認


4月:新年度のスタート
- 振替納税の引き落とし確認(4月中旬頃)
- 前年度の帳簿・書類の保管整理
- 新年度の経理方針の見直し
- 会計ソフトの年度切り替え作業
5月〜6月:住民税・届出関連
- 6月:住民税の通知書が届く(第1期分の納付期限6月末)
- 届出書が必要な場合の確認(青色申告承認申請は開業日から2か月以内、または新規の場合3月15日まで)
- 中間決算として上半期の収支をチェックするのもおすすめ
7月:源泉所得税の納付(特例)
- 7月10日:源泉所得税の納付期限(1月〜6月分、納期の特例を利用している場合)
- 上半期の業績を確認し、下半期の計画を立てる
8月:住民税・個人事業税
- 8月末:住民税第2期分の納付期限
- 8月末:個人事業税第1期分の納付期限
9月〜10月:消費税中間申告・年末準備開始
- 消費税の中間申告・中間納付(前年の消費税額が48万円を超える場合)
- 10月末:住民税第3期分の納付期限
- 年末に向けた節税対策の検討開始(小規模企業共済・iDeCo等の加入検討)
11月:個人事業税・節税対策
- 11月末:個人事業税第2期分の納付期限
- 小規模企業共済・iDeCoへの加入・増額の検討
- ふるさと納税の駆け込み検討
- 減価償却資産の購入検討(年内に事業供用する必要あり)
12月:年末締め・年末調整
- 12月31日:会計期間の最終日(決算日)
- 棚卸(在庫がある場合)
- 年末調整(従業員がいる場合)
- 減価償却の計算準備
- 控除証明書の収集(生命保険、地震保険、社会保険料など)


特に重要な期限をまとめた一覧表
| 時期 | 内容 | 対象者 |
|---|---|---|
| 3月15日 | 所得税の確定申告・納付 | 全員 |
| 3月31日 | 消費税の確定申告・納付 | 課税事業者 |
| 1月末 | 法定調書・給与支払報告書の提出 | 従業員がいる場合 |
| 7月10日 | 源泉所得税の納付(1〜6月分) | 納期の特例を利用する場合 |
| 1月20日 | 源泉所得税の納付(7〜12月分) | 納期の特例を利用する場合 |
| 6月末・8月末・10月末・翌1月末 | 住民税(4期分割) | 全員 |
| 8月末・11月末 | 個人事業税 | 事業税対象者 |
| 12月31日 | 会計期間の最終日(決算日) | 全員 |
年次スケジュールをうまく回すコツ
Googleカレンダーにリマインダーを設定する
納付期限や届出の締切は、Googleカレンダーやスマホのリマインダーに登録しておくのが一番確実です。期限の1週間前と前日にリマインダーを設定しておけば、うっかり忘れを防げます。
月次経理を習慣化する
年次スケジュールをスムーズにこなすためには、月次の経理がきちんとできていることが前提です。毎月の帳簿が整っていれば、決算や確定申告の作業は格段に楽になります。
税理士との定期面談を設ける
年に1〜2回、税理士と面談して年次スケジュールの進捗を確認するのもおすすめです。節税対策のアドバイスや届出漏れのチェックも受けられます(マネーフォワード 月次決算とは)。
会計ソフトのタスク管理機能を使う
freeeやマネーフォワードには、経理業務のToDoリストやリマインダー機能があります。期限が近づくと通知が届くため、「気づいたら期限を過ぎていた」というミスを防げます。
所得税の確定申告期限(3月15日)に遅れると、延滞税や無申告加算税が発生します。消費税(3月31日)も同様です。期限厳守のために、早めの準備を心がけましょう。
開業初年度で注意すべきスケジュール
開業届の提出
開業届は事業開始から1か月以内に所轄の税務署に提出する必要があります。提出しなくても罰則はありませんが、提出しないと青色申告ができない等のデメリットがあります。
青色申告承認申請書の提出
開業日から2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば、その年から青色申告が利用できます。すでに事業を開始している場合は、翌年分の申告に適用するため3月15日までに提出が必要です。
消費税の届出
開業から2年間は原則として免税事業者ですが、インボイス発行事業者の登録をした場合は課税事業者となります。自分が課税事業者に該当するかどうかは、早めに確認しておきましょう(個人事業主の年間スケジュール)。
年次スケジュールで差がつくポイント
節税対策は11月までに完了させる
節税対策の多くは「年内に手続きを完了させること」が条件です。小規模企業共済やiDeCoの加入・増額は12月中に手続きを終える必要がありますが、申込から手続き完了まで数週間かかることもあるため、11月中には動き始めるのが安全です。ふるさと納税も年末ギリギリの申し込みだと決済トラブルのリスクがあるため、余裕を持って対応しましょう。
帳簿の保存期間を把握しておく
確定申告が終わっても、帳簿や証憑はすぐに捨ててはいけません。帳簿類は青色申告者で7年間、白色申告者で5年間の保管義務があります。領収書・請求書等の証憑も同様の期間保管が必要です。決算書や確定申告書の控えも7年間以上保管するのが安全です。
年に一度の経理見直し
年次スケジュールを組む際に、以下の項目も年1回見直すと経理の質が上がります。会計ソフトのプランや機能が自分に合っているか、税理士への依頼範囲は適切か、青色申告の控除額を変更すべきか、消費税の課税事業者に該当するか(前々年の課税売上が1,000万円を超えたか)などをチェックしましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 確定申告の期限に間に合わない場合はどうすればいいですか?
期限後でも申告は可能です。ただし、無申告加算税(原則15〜20%)と延滞税(年利約2.4%〜8.7%程度)が加算されます。間に合わないとわかった時点で、早めに税理士に相談することをおすすめします。
Q. 消費税の中間申告が必要かどうかはどう判断しますか?
前年の確定消費税額(地方消費税を除く)が48万円を超える場合に中間申告が必要になります。48万円以下であれば不要です。詳細は所轄の税務署または税理士にご確認ください。
Q. 納税が一度にできない場合はどうすればいいですか?
振替納税を利用すると口座から自動引き落としされるため、納付忘れを防げます。また、クレジットカード納付やe-Taxからのダイレクト納付も選択肢です。分割で納税したい場合は、税務署に「換価の猶予」の相談をすることも可能です。


期限を見落とさないためのアナログな備え
スマホのリマインダーは便利ですが、通知をその場で消してしまって忘れる、というのもよくある話です。デスクに置く卓上カレンダーに納付期限や申告期限を書き込んでおけば、机に向かうたびに目に入ります。書き込みスペースが広いタイプなら、月ごとの経理作業日もまとめて書けます。
あわせて、年間を通じて届く納付書や控除証明書の置き場所も決めておきたいところです。「未処理」「提出済み」「保管」のようにファイルボックスを分けておけば、期限が来たときに探す時間をかけずに済みます。A4サイズが立てて入るものなら、申告書の控えもそのまま収まります。
まとめ
個人事業主の年次経理スケジュールのポイントをおさらいします。
- 個人事業主の会計期間は1月1日〜12月31日で固定。決算日は12月31日
- 所得税の確定申告期限は翌年3月15日、消費税は3月31日
- 住民税・個人事業税・源泉所得税など、年間を通じて納付期限が分散している
- Googleカレンダーや会計ソフトのリマインダーで期限管理するのがおすすめ
- 11月〜12月は節税対策のラストチャンス。小規模企業共済・ふるさと納税は年内に
年間スケジュールを把握して、余裕のある経理を実現しましょう。
関連記事:個人事業主の帳簿管理のコツ|月次・年次でやるべきことを解説
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