個人事業主の決算日は12月31日。この日を区切りとして、1年間の収支を確定させ、確定申告の準備に入ります。
ところが「決算って具体的に何をすればいいの?」と迷ってしまう方も多いのが現実です。帳簿の締め作業、棚卸、減価償却、家事按分…やるべきことは意外とたくさんあります。
決算準備のチェックリストを使って漏れなく進めれば、確定申告がスムーズに完了するのは間違いありません。この記事では、個人事業主が年末の決算で押さえるべきポイントをチェックリスト形式でまとめました。

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決算準備の全体像
個人事業主の決算とは
個人事業主の決算は、1月1日から12月31日までの1年間の収入と支出を集計し、正しい所得を確定させる作業です。この結果をもとに確定申告書と決算書(青色申告決算書または収支内訳書)を作成します。
法人のように決算月を自由に設定することはできず、個人事業主は12月31日が決算日と定められています(マネーフォワード 個人事業主の決算月)。
決算準備のスケジュール感
理想的なスケジュールは以下のとおりです。
- 11月中旬〜:節税対策の最終確認、経費の先行計上の検討
- 12月中:棚卸、固定資産の確認、帳簿の整理
- 12月31日:決算日(帳簿の締め)
- 1月〜2月中旬:決算整理仕訳、決算書の作成
- 2月16日〜3月15日:確定申告書の提出・納税
決算準備チェックリスト【完全版】
STEP1:帳簿の整理・確認
- 12月分までの全取引を帳簿に記帳した
- 事業用口座の残高と帳簿の残高が一致している
- 現金出納帳の残高と実際の手持ち現金が一致している
- クレジットカードの利用明細と帳簿を照合した
- 売掛金の残高が正しいか確認した(未入金がないか)
- 買掛金・未払金の残高が正しいか確認した(未払いがないか)
- 前払費用・前受収益がないか確認した
STEP2:棚卸(在庫の確認)
- 12月31日時点の在庫数量をカウントした
- 在庫の評価額を算出した(原価法が一般的)
- 棚卸表を作成した
- 仕掛品(制作途中のもの)がある場合はその評価額も算出した
物販や製造業を行っている場合、棚卸は必須の作業です。在庫は経費ではなく資産として計上されるため、棚卸を正確に行わないと所得の計算がずれてしまいます。


STEP3:減価償却の計算
- 固定資産台帳に登録されている資産を確認した
- 当期分の減価償却費を計算した
- 当期中に取得した固定資産があれば登録した
- 除却・売却した固定資産があれば処理した
- 30万円未満の少額減価償却資産の特例を利用するか判断した
10万円以上の資産は原則として減価償却の対象です。青色申告者であれば、30万円未満の資産を一括で経費にできる「少額減価償却資産の特例」が利用可能です(年間合計300万円まで)。詳しい耐用年数は国税庁のサイトで確認できます(国税庁 減価償却のあらまし)。
STEP4:家事按分の計算
- 家賃の事業利用割合を算出した
- 水道光熱費の事業利用割合を算出した
- 通信費(スマホ・インターネット)の事業利用割合を算出した
- 車両関連費の事業利用割合を算出した
- 按分の根拠(使用面積、使用時間等)を記録した
自宅兼事務所で事業を行っている場合、家賃・光熱費・通信費の事業利用分を按分して経費に計上できます。按分の方法は「面積比」「使用時間比」が一般的で、合理的な根拠が求められます。
STEP5:決算整理仕訳
- 減価償却費の仕訳を入力した
- 家事按分の調整仕訳を入力した
- 前払費用・未払費用の振替仕訳を入力した
- 売上の期ズレがないか確認した(12月の売上が1月に計上されていないか)
- 経費の期ズレがないか確認した(1月の経費が12月に計上されていないか)
- 貸倒引当金の繰入をした(青色申告者の場合)


STEP6:決算書の作成
- 青色申告決算書(または収支内訳書)を作成した
- 損益計算書の内容を確認した
- 貸借対照表の内容を確認した(青色申告65万円控除の場合は必須)
- 各科目の金額が妥当か最終チェックした
STEP7:必要書類の準備
- 控除証明書を揃えた(生命保険料、地震保険料、社会保険料など)
- ふるさと納税の寄附金受領証明書を用意した
- 医療費の領収書・明細書を用意した(医療費控除を利用する場合)
- 住宅ローン控除の関連書類を用意した(該当する場合)
- マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カード)を用意した
決算で見落としがちなポイント
売上の計上タイミング
売上は「入金された日」ではなく「売上が確定した日(役務提供日・商品引渡日)」で計上するのが原則です。12月に納品した仕事の代金が1月に入金される場合、売上は12月に計上する必要があります。
年をまたぐ経費の処理
12月に支払った翌年1月分の家賃は「前払費用」として処理します。逆に12月分の電気代が1月に請求される場合は「未払費用」として12月に計上します。この「期ズレ」を正しく処理することが、決算の精度を高めるポイントです。
控除の取りこぼし
以下の控除を適用し忘れていないかチェックしましょう。
- 青色申告特別控除(65万円 or 10万円)
- 小規模企業共済等掛金控除
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金控除
- 生命保険料控除
- 社会保険料控除
- 医療費控除(またはセルフメディケーション税制)
- ふるさと納税の寄附金控除
- 地震保険料控除
決算作業を効率化するツール活用法
会計ソフトの決算機能を使う
freee・マネーフォワード・弥生のクラウド会計ソフトには、決算に必要な機能が一通り揃っています。日々の帳簿データから自動で決算書を作成してくれるため、手計算のミスを防げます。特にfreeeの場合は、決算整理仕訳のテンプレートや減価償却費の自動計算機能、家事按分の自動振替機能が搭載されており、決算に慣れていない個人事業主でもスムーズに決算書を作成できる仕組みが整っています。
決算チェックリストをデジタル化する
本記事のチェックリストは、エクセルやGoogleスプレッドシートにコピーして毎年使い回すのがおすすめです。チェック済みの項目には日付を記入しておくと、作業の進捗が一目でわかります。
税理士への依頼タイミング
決算と確定申告を税理士に依頼する場合は、遅くとも1月中に依頼するのが理想的です。2月に入ると税理士側も繁忙期に入るため、対応が遅れる可能性があります。初めて依頼する場合は、11月〜12月中に税理士を探し始めておくとスムーズです。
よくある質問(Q&A)
Q. 決算書の作成は手作業でもできますか?
手作業でも可能ですが、計算ミスのリスクが高くなります。freee・マネーフォワード・弥生などの会計ソフトを使えば、日々の帳簿データから自動で決算書が作成されるため、効率と正確性の両面でおすすめです。
Q. 青色申告と白色申告で決算作業は変わりますか?
青色申告(65万円控除)の場合は複式簿記による記帳と貸借対照表の作成が必要ですが、白色申告や青色申告10万円控除の場合は簡易な収支内訳書で済みます。ただし、白色申告でも記帳義務はあるため、帳簿の整理は必要です。
Q. 棚卸は在庫がなければ不要ですか?
物販や製造業でなければ、通常は棚卸作業は不要です。サービス業やコンサルティング業などで在庫を持たない場合はスキップして問題ありません。ただし、仕掛品(制作途中の案件)がある場合はその評価が必要になることもあります。
Q. 減価償却の計算方法がわかりません。
個人事業主の減価償却は原則「定額法」で計算します。取得価額を耐用年数で割るシンプルな計算です。会計ソフトに固定資産を登録しておけば、減価償却費は自動で計算されるため、手計算は不要です。


決算作業のときに手元にあると助かるもの
決算は12月31日で締めて3月15日までに申告、という日程が決まっています。棚卸や書類の準備をいつやるのか、卓上カレンダーに逆算して書き込んでおくと、年末年始の慌ただしい時期でも作業が後ろ倒しになりにくくなります。
また、棚卸の集計や家事按分の按分計算では、画面上で操作するより手元で叩いたほうが早い場面もあります。桁数の多い実務向けの電卓を1台置いておく方も少なくありません。実際の使い勝手は各ショップのレビューで確認してみてください。
まとめ
個人事業主の決算準備チェックリストのポイントをおさらいします。
- 個人事業主の決算日は12月31日で固定。確定申告期限は翌年3月15日
- 帳簿の締め、棚卸、減価償却、家事按分、決算整理仕訳、決算書作成の順に進める
- 売上・経費の「期ズレ」は決算で最もミスしやすいポイント
- 各種控除の取りこぼしがないか最終チェックする
- 会計ソフトを使えば決算書は自動で作成できるため、効率的に進められる
チェックリストを活用して、ミスのない決算を目指しましょう。
関連記事:個人事業主の減価償却のやり方|会計ソフトで簡単に処理する方法
関連記事:家事按分の計算方法|家賃・光熱費・通信費を正しく経費にするコツ
関連記事:青色申告の65万円控除を受けるための条件を徹底解説
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