「現金出納帳って何を書けばいいの?」「帳簿をつけないといけないのはわかるけど、書き方がわからない」――そんな声をよく耳にします。
現金出納帳とは、事業で使う現金の入出金を日付順に記録する帳簿のことです。事業の家計簿のようなもので、お金の流れを正確に把握するために欠かせない存在です。
正しい書き方を覚えてしまえば、1回あたり数分で記帳できるようになります。この記事では、現金出納帳の基本的な書き方から、テンプレートの活用法、よくあるミスの防ぎ方まで丁寧に解説します。

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現金出納帳とは
現金出納帳の役割
現金出納帳は、事業用の現金(手持ちの現金)の入金と出金を日付順に記録する帳簿です。主な役割は以下のとおりです。
- 現金の収入と支出をリアルタイムで把握する
- 帳簿上の残高と実際の手持ち現金が一致しているか確認する
- 確定申告や税務調査の際の証拠資料となる
青色申告で65万円控除を受けるためには複式簿記での記帳が必要ですが、現金出納帳は「補助簿」として帳簿体系のなかに位置づけられます(弥生 現金出納帳とは)。
現金出納帳が必要なケース
現金取引が多い事業者は特に管理が重要です。具体的には店舗での現金売上がある場合、経費を現金で支払うことが多い場合、小口現金を管理している場合などが該当します。逆に、すべての取引を銀行口座やクレジットカードで行っている場合は、現金出納帳の出番は少なくなります。
現金出納帳の基本的な書き方


記載する項目
- 日付:取引が発生した年月日
- 勘定科目:仕訳で使う科目(消耗品費、旅費交通費など)
- 摘要:取引の内容(例:「文房具購入 文具店」)
- 収入金額:入金があった場合の金額
- 支出金額:出金があった場合の金額
- 残高:取引後の現金残高
記入例
| 日付 | 勘定科目 | 摘要 | 収入 | 支出 | 残高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 7/1 | – | 前月繰越 | – | – | 50,000 |
| 7/3 | 売上高 | A社 デザイン代 現金受取 | 30,000 | – | 80,000 |
| 7/5 | 消耗品費 | 文房具購入 | – | 2,500 | 77,500 |
| 7/8 | 旅費交通費 | タクシー代 打合せ先往復 | – | 3,200 | 74,300 |
| 7/15 | 荷造運賃 | 宅配便送料 | – | 1,200 | 73,100 |
| 7/20 | 接待交際費 | B社 担当者 会食 | – | 8,000 | 65,100 |
摘要欄にはできるだけ具体的に内容を書くのがポイントです。「雑費」「その他」だけでは、後から見返したときに何の支出だったか思い出せなくなります。


月末の締め方
- 当月の収入合計と支出合計を算出する
- 「前月繰越+収入合計−支出合計」で月末残高を計算する
- 帳簿上の残高と実際の手持ち現金を照合する(ここが最重要)
- 差異がある場合は原因を調べて修正する
- 翌月に「前月繰越」として月末残高を転記する
現金出納帳のテンプレートを活用する


エクセルテンプレートの活用
現金出納帳のテンプレートは、弥生やfreee、マネーフォワードなどの公式サイトから無料でダウンロードできます(弥生 現金出納帳テンプレート)。エクセル形式で提供されているものが多く、残高が自動計算される、月ごとにシートを分けて管理できる、コストがかからないというメリットがあります。
会計ソフトでの作成
freee・マネーフォワード・弥生のクラウド会計ソフトには、現金出納帳の機能が標準搭載されています。取引を入力するだけで自動的に現金出納帳が作成されるため、帳簿の転記ミスが防げるのが大きなメリットです。他の帳簿とも自動連動するため、二重入力の手間がなくなります(freee 現金出納帳の作成方法)。
現金出納帳でよくあるミスと対策


残高が合わない
- 記帳し忘れた取引がある
- 金額の入力ミス(桁違い、打ち間違い)
- 事業用の現金をプライベートに使ってしまった
- 自動販売機やコインパーキングなど、レシートのない支出を記帳していない
残高が合わない場合は、直近の取引から遡ってチェックしましょう。どうしても原因がわからない場合は「現金過不足」という勘定科目で調整することも可能です。
プライベートとの混同
事業用の現金でプライベートの買い物をしてしまった場合は「事業主貸」、逆に個人のお金を事業に使った場合は「事業主借」として処理します。
| ケース | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 事業用の現金で私物を購入 | 事業主貸 | 現金 |
| 個人のお金で事業経費を支払い | 経費科目 | 事業主借 |
レシートがない支出の扱い
自動販売機やご祝儀など、レシートが発行されない支出は「出金伝票」を作成して記録します。出金伝票には日付・金額・相手先・内容を記入し、証憑の代わりとして保管しましょう。
現金出納帳と他の帳簿との関係
仕訳帳・総勘定元帳との連動
複式簿記で青色申告(65万円控除)を行う場合、現金出納帳はあくまで「補助簿」です。メインの帳簿は仕訳帳と総勘定元帳になります。現金出納帳に記録した内容は、仕訳帳にも同じ取引が反映される必要があります。会計ソフトを使っていれば、取引を1回入力するだけで現金出納帳・仕訳帳・総勘定元帳のすべてに自動反映されるため、転記の手間はかかりません。
預金出納帳との使い分け
銀行口座の入出金を記録する「預金出納帳」と、手持ち現金を記録する「現金出納帳」は別物です。事業用口座からの出金を現金で受け取った場合は、預金出納帳の出金と現金出納帳の入金の両方に記帳する必要があります。
現金取引を減らして経理を楽にする方法
事業用クレジットカードを活用する
経費の支払いを事業用クレジットカードに集約すれば、現金出納帳の記帳が不要になるだけでなく、クラウド会計ソフトとの自動連携で経費入力が自動化されます。年会費無料のビジネスカードも多数あるため、コスト面でのハードルは低いです。
電子マネー・スマホ決済を導入する
コンビニでの少額買い物やタクシー代など、以前は現金払いが当たり前だった支出も、電子マネーやスマホ決済で対応できるようになっています。支払い履歴がデータとして残るため、記帳漏れの心配がなくなります。
請求書払い・口座振替を増やす
仕入先やサービス提供元に対して、現金払いではなく口座振替や銀行振込での支払いに変更できないか相談してみましょう。現金取引を減らすほど、帳簿管理のミスと手間は減っていきます。
よくある質問(Q&A)
Q. 現金出納帳は手書きでもいいですか?
手書きでも問題ありません。ただし、計算ミスや修正の手間を考えると、エクセルや会計ソフトの方が効率的です。特に取引件数が多い場合は、デジタルでの管理をおすすめします。
Q. 現金出納帳は何年間保管する必要がありますか?
帳簿類は、青色申告者は7年間、白色申告者は5年間の保管義務があります。電子帳簿保存法の要件を満たせば、電子データでの保管も可能です。
Q. キャッシュレス決済が中心でも現金出納帳は必要ですか?
現金取引がほとんどない場合は、現金出納帳の必要性は低くなります。ただし、少額でも現金での支出がある場合は記録しておくべきです。
Q. 事業用の財布と個人用の財布は分けるべきですか?
分けた方が帳簿管理が楽になります。事業用の財布を別に用意し、そこから事業関連の支出だけを行うようにすれば、プライベートとの混同を防げます。事業用口座と同様に、財布も事業用と個人用を分けるのが理想的です。
Q. 現金出納帳と預金出納帳を両方つける必要はありますか?
青色申告(65万円控除)で複式簿記を行う場合は、現金と預金の両方の動きを記録する必要があります。会計ソフトを使えば、取引入力時に自動で現金出納帳と預金出納帳の両方に反映されるため、個別に帳簿を作成する必要はありません。


手書きで記帳したい人に
現金取引が月に数件しかない場合、パソコンを立ち上げるより手元のノートに書いたほうが早い、という方もいます。市販の現金出納帳は「日付・摘要・入金・出金・残高」の欄がはじめから印刷されているので、書式づくりから始めずに済みます。
記帳を続けるうちに「この支出はどの勘定科目だろう」と迷う場面も出てきます。簿記の入門書を1冊読んでおくと、仕訳の考え方の土台ができて判断がしやすくなります。
まとめ
現金出納帳の書き方のポイントをおさらいします。
- 現金出納帳は「事業用現金の入出金を日付順に記録する帳簿」で、確定申告の基礎資料となる
- 記載項目は日付・勘定科目・摘要・収入・支出・残高の6つ
- 摘要は具体的に書くことで、後から見返しやすくなる
- 月末には帳簿残高と実際の手持ち現金を照合するのが鉄則
- エクセルテンプレートや会計ソフトの活用で効率的に管理できる
正確な現金出納帳の記帳は、堅実な経理の第一歩です。キャッシュレス化を進めつつも、現金取引がある場合はこの基本をしっかり押さえておきましょう。
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