12月に入ると、個人事業主にとって年末の経理作業が気になり始める頃です。「確定申告の準備、何から手をつければいいんだろう?」と毎年悩んでいませんか?
実は、年末にやっておくべき経理作業を整理しておくだけで、確定申告がびっくりするほどラクになります。逆に、年末の作業を怠ると、翌年の確定申告で帳簿の整合性が取れなくなったり、必要な書類が見つからなくなったりと、大変な思いをすることに。
この記事では、個人事業主が年末にやるべき経理作業をチェックリスト形式で網羅的にまとめました。このリストに沿って作業すれば、抜け漏れなく年を越せます。

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年末経理チェックリスト【全項目一覧】
まずは全体像を把握しましょう。以下が個人事業主の年末経理でやるべきことの一覧です。
年末経理チェックリスト
- 帳簿の記帳を12月31日まで完了させる
- 売掛金・買掛金の残高を確認する
- 現金残高と帳簿の照合
- 銀行口座の残高照合
- 棚卸し(在庫がある場合)
- 固定資産の減価償却費を計算する
- 家事按分の割合を確認・調整する
- 経費の領収書・レシートを整理する
- 控除証明書を収集する
- 年末調整関連(従業員がいる場合)
- 消費税の計算(課税事業者の場合)
- 翌年の節税対策を検討する
それぞれの項目について、具体的に何をすればよいのか見ていきましょう。
1. 帳簿の記帳を12月31日まで完了させる
年末の記帳漏れは確定申告時の最大のトラブル原因です。12月分の売上・経費をすべて記帳し、帳簿を最新の状態にしましょう。
特に以下の取引は漏れやすいため、注意してチェックしてください。
- 12月に発生したが入金は翌年になる売上(売掛金として計上)
- 12月に購入したが支払いは翌年のもの(買掛金・未払金として計上)
- クレジットカードで12月に決済したもの(利用日ベースで計上)
- 年末の現金取引(レシートの整理を忘れがち)
クラウド会計ソフトを使っていれば、銀行口座やクレジットカードとの自動連携で多くの取引は自動で取り込まれますが、現金取引は手入力が必要なので見落とさないようにしましょう。

2. 売掛金・買掛金の残高確認
年末時点で未回収の売掛金と未払いの買掛金の残高を確認します。取引先ごとに金額を突き合わせ、漏れや二重計上がないかチェックしましょう。
長期間回収できていない売掛金がある場合は、貸倒処理の検討も必要です。個人事業主の場合、貸倒引当金を設定できるのは青色申告を行っている場合のみです。
3. 現金残高と帳簿の照合
手元の現金と帳簿上の現金残高が一致しているか確認します。ズレが生じている場合は、記帳漏れや金額の誤りがないか遡ってチェックしてください。
なお、事業用の財布と私用の財布を分けていない場合は、事業主貸・事業主借で調整が必要です。日頃から事業用の現金を分けて管理しておくと、年末の照合がスムーズになります。
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4. 銀行口座の残高照合
事業用の銀行口座の12月31日時点の残高と、帳簿上の預金残高が一致しているか確認します。クラウド会計ソフトの銀行連携を使っていれば、基本的には自動で一致するはずですが、まだ反映されていない取引(年末の振込など)がないか確認しておきましょう。
5. 棚卸し(在庫がある場合)
物販をしている個人事業主は、12月31日時点の在庫を数えて棚卸しを行います。在庫の金額は「期末棚卸高」として確定申告の決算書に記載します。
棚卸しをサボると、売上原価の計算が不正確になり、結果として所得金額が正しく計算できません。在庫がある場合は面倒でもきちんと数えましょう。
6. 固定資産の減価償却費を計算する
パソコンや車など、10万円以上の固定資産を持っている場合は、その年の減価償却費を計算します。会計ソフトに固定資産を登録しておけば、減価償却費は自動計算されるため、登録漏れがないか確認すればOKです。
なお、青色申告者は30万円未満の固定資産を一括で経費計上できる「少額減価償却資産の特例」が利用できます(年間合計300万円が上限)。年末に備品を購入する際の節税にも使えます。
7. 家事按分の割合を確認・調整する
自宅を事務所として使っている場合、家賃・光熱費・通信費などは事業使用分のみを経費にできます。家事按分の割合は合理的な基準で設定されているか、年に1回は見直すことをおすすめします。
たとえば、自宅の面積のうち事業に使っている割合が30%なら、家賃の30%を経費として計上します。使用時間で按分する方法もあります。

8. 経費の領収書・レシートを整理する
1年分の領収書やレシートを月別に整理します。電子帳簿保存法に対応している場合は、電子データとして保存されているか確認しましょう。
紙の領収書をまだ使っている方は、このタイミングでスキャンして電子保存に切り替えるのも一つの手です。freee・マネーフォワード・弥生のいずれもレシート撮影・OCR機能を搭載しています。
9. 控除証明書を収集する
確定申告で所得控除を受けるために必要な証明書を集めます。以下のような書類が該当します。
- 社会保険料(国民年金・国民健康保険)の控除証明書
- 生命保険料・地震保険料の控除証明書
- 小規模企業共済・iDeCoの掛金払込証明書
- ふるさと納税の寄附金受領証明書
- 医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
- 住宅ローンの残高証明書(住宅ローン控除を受ける場合)
これらの証明書は10〜12月にかけて届くことが多いため、届き次第まとめて保管しておきましょう。マイナポータル連携(マイナポータル)を使えば、一部の控除証明書は電子データで自動取得できます。
10. 年末調整関連(従業員がいる場合)
従業員を雇っている個人事業主は、12月に年末調整を行う義務があります。従業員から扶養控除等申告書や保険料控除申告書を回収し、年税額を計算して過不足を精算します。
給与計算ソフト(freee人事労務、マネーフォワード給与、弥生給与など)を使っていれば、年末調整の計算も自動化できるため、導入を検討してみてください。
11. 消費税の計算(課税事業者の場合)
インボイス登録をしている個人事業主や、課税売上高が1,000万円を超えている事業者は消費税の申告が必要です。簡易課税を選択している場合はみなし仕入率で計算し、本則課税の場合は仕入税額控除の計算を行います。
インボイス制度の2割特例を適用している方は、納税額が売上税額の2割で済むため計算がシンプルです(詳細は国税庁 インボイス制度の概要を参照)。
12. 翌年の節税対策を検討する
年末は翌年の節税対策を考える良いタイミングでもあります。以下のような施策を検討してみてください。
- 小規模企業共済やiDeCoへの加入・増額
- 必要な設備投資の前倒し購入(少額減価償却資産の特例活用)
- ふるさと納税の上限額の確認と実施
- 青色事業専従者給与の設定見直し

会計ソフトを活用して年末経理を効率化
ここまで紹介した作業の多くは、クラウド会計ソフトを使っていれば大幅に効率化できます。
- 銀行・クレカ連携で記帳作業を自動化
- 固定資産の減価償却費を自動計算
- 家事按分の自動計算機能
- レシート撮影とOCRによる電子保存
- 決算書・確定申告書の自動作成
まだ手作業で帳簿をつけている方は、このタイミングで会計ソフトの導入を検討してみるのもよいでしょう。年始から使い始めれば、1年分のデータを漏れなく管理できます。
よくある質問(Q&A)
Q. 年末の経理作業はいつから始めればよいですか?
A. 理想的には12月上旬から始めるのがおすすめです。12月31日ギリギリだと、取引先からの請求書が届いていなかったり、銀行の営業が終了していたりして、確認作業が滞ることがあります。余裕を持って早めに着手しましょう。
Q. 記帳が溜まっているのですが、年末までに全部やらないとダメですか?
A. 確定申告の期限(通常3月15日)までに帳簿を完成させれば問題ありませんが、年をまたいでから記帳するのはミスが増えやすくなります。記憶が新しいうちに、できる限り12月中に終わらせることをおすすめします。
Q. 年末に大きな買い物をすると節税になりますか?
A. 事業に必要な備品であれば、年末に購入して経費に計上することで所得を減らすことは可能です。ただし、30万円未満の少額減価償却資産の特例を使う場合は年間合計300万円までという上限があります。また、節税のためだけに不要なものを買うのは本末転倒なので、本当に必要なものだけにしましょう。
まとめ
個人事業主の年末経理は、確定申告を乗り切るための重要な準備期間です。この記事で紹介したチェックリストに沿って作業を進めれば、抜け漏れなく年末の経理を締めることができます。
特に「帳簿の記帳完了」「売掛金・買掛金の残高確認」「固定資産の減価償却」「控除証明書の収集」は忘れやすい項目なので、早めに取りかかりましょう。クラウド会計ソフトを活用すれば作業の大部分を自動化できるため、まだ導入していない方はこの機会に検討してみてください。
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